健康エコ建築

近年、「環境」または「健康」などの言葉がひとつのキーワードになって、
「エコ」・「エコロジー」などの言葉を盛んに目にするようになりましたが、
昭和30年代は日本が戦後の高度成長に向けて「文化」という言葉がキーワードになっていました。

1960年(昭和35年)に当時の総理大臣であった池田隼人が所得倍増計画を打ち出しました。
所得が倍になれば豊かな生活が得られ、この「文化」をビジネスチャンスにしようと、
ネコも杓子も文化をキャッチコピーにした時代でした。
分化鍋・文化包丁・文化住宅・分化教室・分化会館などがその例です。

京都議定書で地球温暖化防止によるCO2の削減を発表してから今や時代は、まさに「健康・環境・エコ」です。
みなさまのまわりにこれらの言葉を使った関連商品が数多く氾濫しているのに気が付かれていると思います。
たとえば、健康商品・環境商品・エコ商品などです。

住宅も例外ではなく、「健康住宅」・「環境住宅」・「エコ住宅」などのキャッチコピーをつけた
宣伝広告を大変多く目にするようになりました。
ところが、キャッチコピーだけで内容が伴っていないものが大半ですので、
これから安全な住宅を求めようとする方は大変な時代に入ったと思います。

私が平成5年頃より室内環境を考え、いろいろと試行錯誤をしていたときに危惧していたことが、まさにこのことでした。
室内環境を真剣に取り組みながら施主の方と一緒に健康で安全な住宅を造ってきたのは、
ほとんどが地元の少人数でがんばっているビルダーのかたがたです。
なぜ地元のビルダーかというと、お客様から建築の相談を受けて、それから建築の計画が行われ、
そして工事が着工され完成しますが、完成に至るまで一般的に木造住宅で約一年程度かかります。

さらにそれから瑕疵担保期間とメンテナンスがはじまりますが、
平成14年3月31日までは2年保障、それ以降は10年保障になりました。
一番大きな理由はこの瑕疵担保保障期間とメンテナンスところです。
地方のビルダーは、それぞれの狭い地域のエリアで事業展開を行っていますので、
少しでも悪い風評が出ないように真剣に取り組むわけです。
場合によっては、一回の工事で悪い風評が出ると事業の存続が危ぶまれることさえあるので、
できるだけ瑕疵が出ないように、またメンテナンスが少ないようにいろいろ工夫し、慎重に工事を遂行するのです。
私は貸し担保が10年というのは短いと思っています。
なぜなら、住宅は新築して一世代使用する期間が約30年程度ですので、
せめてその期間ぐらいは瑕疵保障をするぐらいの自信を持った建物を造らなければならないと思っています。

もう一つの理由は、最終処分地の問題です。
日本は高度成長をむかえたとき大量生産大量消費を行い、しかも使い捨てがもてはやされ文化であるがごとく、
使い捨てにも「文化」という冠をつけ、「使い捨て文化」がひとつのステイタスのようにもてはやされた時代がありました。
その結果、最終処分地がどんどんなくなり現在大きな社会問題になっています。
記憶の新しいところでは、愛媛県の豊島のゴミ問題はマスコミで全国に報道されました。

日本における木造住宅の立替平均寿命は17年半といわれていますが、
欧米では43年なので、取り壊して最終処分地にいく速度が2.5倍になっているのです。
立替寿命を延ばしてやればやるほど、この速度は遅くなり、処分地へ行く速度も遅くなります。
さらに処分の量を少なくすればするほど、最終処分地が飽和する速度は遅くなります。
最近、特にリサイクルが注目されていますが、これからはリユースも考慮しなければならない時代に入りました。

約6000年前、人類は定住集落の形態をとり、外敵から身を守る「すみか」を創り出し、
いろいろな時代を変遷し「すみか」から「住居」へと移っていきました。
その歴史の中で大きな分岐点がありました。
それは電気の発明です。

フランクリンが雷を調べるためタコ上げ実験をしたのが1752年、
エジソンが白熱電球を発明したのが1879年であり、約125年前の出来事です。

それは世界中にまたたくまに広まり受け入れられ、その電気エネルギーを利用した工業化が進み、
化学物質も大量に作り出されました。
工業化は地球の温暖化や自然の破壊をもたらし、化学物質は人類を病へと導きました。

ドイツの毒物学者のウラ・エガース博士は、現在化学物質は地球上に約1500万種類あり、
そのうちに何らかの影響を人類や環境に及ぼすであろうとわっているのが、わずか0.1%の約1万5000種類だけなので、
今後どのような問題が出るかわらないといっています。
電気エネルギーが発明されてから約100年ほどであり、そして人類が定住しはじめて約6000年。
この時間の比較をわりやすくするために、人類が定住しはじめて今日までを1日に換算してみましょう。
すると、電気エネルギーが発明されてから今日までが約1分30秒です。
このわずか1分30の間に地球の環境は破滅的に悪くなり、取り戻すことができない状況にまでなってきました。

私は電気エネルギーが悪いと言っているのではありません。
電気エネルギーにより人類は多くの有形・無形の恩恵を受けてきたが、これからは上手に付き合う方法を考えなければなりません。
つまり、その方法は簡単で、それは電気エネルギーをできるだけ使わないことです。
建築においても、省エネルギーやゼロエミッションが叫ばれていますが、
これも大切なことで間違ってはいませんが、もっと深く追求しなければなりません。
それは次の三つの問題を考慮することが重要です。

一つ目は、建築物を構築していくには建築材料が必要ですが、
この建築材料が作られるまでの「材料製造エネルギー」が少ない材料を使用します。

二つ目は、建築物が完成してから廃棄するまでの時間をできるだけ長くし、
この間にリフォームや増築をしないような構造にすることです。

三つ目は、建築物の残存期間中に使用する電気エネルギーをできるだけ使わない方法をとることです。
この方法は自然エネルギーの特性を利用し、一切の機械設備を使用しないことです。

まず一つ目の考え方は、たとえば建築の主要構造であるコンクリートについて考えてみましょう。
コンクリートを作る材料は、セメントと砂と砂利と水からできていますが、
その中でもセメントは、石灰石と粘土と珪石と石膏と鉄原料で1000℃〜1600℃で焼成して作られます。
石灰石を採掘するのに大型重機を使い採掘し、トラックやベルトコンベアーでプラントに運び焼成し、
さらにトラックで生コンクリートのプラントに運び込まれ、ここで砂・砂利・水を加えコンクリートができます。
これをそれぞれの工事現場に運び枠に流し込み、コンクリートの構造物が完成します。

一方、木造建築物の主要材料の木材は、ある程度の樹齢になったら伐採し、
トラックなどで貯木場に運ばれ、乾燥機の釜に入れて製材されてからトラックなどで工事現場に運ばれます。
このように木材のほうがコンクリートよりも、ほるかに製造エネルギーが少ないのです。
また最近注目されている太陽光発電システムですが、
大手住宅メーカーが「環境にやさしくクリーンなエネルギー」とイメージを強調したテレビCMを見かけます。
環境を考えるとき、先ほども述べたように製造エネルギーまで考慮しなければならないので、
その考え方からすると、必ずしも環境にやさしいとはいえません。
なぜなら、太陽電池に使用されるセルは製造する段階で大量の電気が必要となるからです。
ところが、このことはまったく放映されないし、知らされていなません。
ここに大きな問題があり、メーカーは社会的責任があるので情報を公開する責務があり使命があります。

そして、さらに電磁波の問題があります。
まだ人体にどのような影響を与えるか定かではありませんが、
なんらかの影響を受けるであろうと考えている人たちや科学学者が増えてきましたが、私もまったく同感です。
最近の住宅に多く取り入れるようになった電磁調理器ですが、簡易電磁波測定機で計測すると、
人体に害がない10ミリガウスを確保する距離は、なんと2メートルから2.5メートルです。

それから新幹線や電車などは、床や窓際など外周面に強い電磁波が出ていので、それらに乗るときは通路側がいいです。
電磁調理器もテレビCMで安全とか環境によいとか掃除がしやすいなどのイメージを強調されていますが、
電磁波のことは情報として流していません。

それからもうひとつ大事なものが波動です。
形があるものは、すべて固有振動を持っています。
もちろん人間も持っているので、建築物を構成している建築素材がもっている波動と人間がもっているは、
波動が合えば心地よく感じられますが、反対に建築資材の波動が人間と合わなければ、不快感を感じます。
たとえば、カラオケで上手な人の歌を聴いていても不快感はありませんが、
下手な人の歌を聴くと不快になり、ストレスさえ受けます。

人間にとって心地よい波動を出している建築素材は、自然素材が多く、たとえば木材・土・紙・石・竹などが代表的です。
ここで二つの異なった素材で作った室内空間をイメージしてください。
ひとつはコンクリートでできた室内空間、もうひとつは木材でできた室内空間。
それぞれの空間の中で、おにぎりを食べたとしましょう。
どちらの空間で食べたおにぎりがおいしく感じられるか、これは圧倒的に木材でできたほうです。
さらに、どちらの空間に長時間いることができるか、これも圧倒的に後者です。

それは何億年も前に生命が海から誕生して陸に上がり、さらに類人猿に進化し森に入りヒトが誕生しました。
長い年月を経て、森とともに暮らし森に守られてきたので、DNAの中には木や石や土などの記憶が深く刻み込まれています。
自然素材は好き・嫌いなどの判別でなく、違和感なくに受け入れられるのです。

みなさまがお店や知人の家などに行ったときに、そこが「なんとなく落ち着く」、
反対に「なぜか落ち着かない」といった体験があると思いますが、この違いは波動が関係していると思われます。
日本が高度成長に伴い、大勢の若者が日本全国から都会に集まってきました。
増加する人口を受け入れる土地がなかったので、コンクリートで高層アパートをつくり、その中で若者たちが生活をはじめました。
ところが当時、内装材のほとんどが石油製品でつくられた新建材だったので、
床・壁・天井すべてに化学物質が使われてたのです。
このためにコンクリートの悪い波動と化学物質の被害を受けたのが、このときの胎児たちであり、第一次の被害者です。
現在40歳から43歳の世代で、すでにもうこの人たちの子供も誕生しているので、二世代目になっています。

人間がストレス感じると体内である物質がつくられ、これに毒性があるという研究発表がされてますが、
妊娠中の母親が悪い波動を受けるとストレスがかかり、それにより毒性が生まれ、母体を通じ胎児に入り傷つけます。

今、切れる子供たちの問題が取り上げられていますが、精神科医の森下一医師は、
子供たちの精神障害で生後の0歳児から幼児期に受けたキズが原因の場合は、治療で治すことは可能であるが、
胎児のときにキズついたことが原因の場合は、不可能であるといっています。

住環境が大きく変化したのが1960年(昭和35年)からですが、
特に現在の年齢で43歳までの方の中に情緒不安定が原因で、ある行動が多くみられます。
ここ数年間、建築の世界で特に化学物質の問題が大きく取り上げられようになりましたが、
これも人体の健康被害の観点からのみの見方で、私はもっと深いところに目に見えない原因が潜んでいように考えています。
その目に見えない原因とは、先ほども述べたように波動です。

私も13年間、中堅ゼネコンで建築現場の管理を担当してきましたが、
主に鉄筋コンクリート造りの現場で、あの無機質なコンクリートの中にいることが心地いいとは一度も思わなかったですし、
それよりもある種の不快感さえ感じていました。

ところが木造建築を手掛けはじめて現場に入ると、今までの感じとはまったく違いました。
特に木材がかもし出す香は、「なんとなく」精神を和らげ、すがすがしい感じでアロマセラピーのような体験をしました。
私がとくに注目したいのが、この「なんとはなく」という感覚で、
人類が生きていくうえで神様が与えてくれた最大の防御本能です。

これまで、建築物を計画するときに「構造が安全であること」、「使い勝手がよいこと」、「デザインがいいこと」が重要でしたが、
これからの建築物は、建築後、最低でも100年は耐久すること、化学物質を排除し健康被害を受けないこと、
電磁波を考慮して細胞にダメージをあたえないこと、ランニングコストがかからないこと、
そして一番大事なことは、人間にとっていい波動を持つ材料を見極めることが重要になってきます。

このような見方をしていくと、建築物も生き物としての要素が必要です。
ドイツやスイスなどでは、このような考え方でつくる建築を「バウビオロギー」と呼んでいて、
日本では「建築生物学」と訳されています。
建築は生き物であるので、できるだけ長寿の命のいぶきを吹き込むことが、
われわれ建築にたずさわる者のこれからの使命であることを願ってやみません。



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