Cafe 568 : 五郎八が思ったこと、感じたことを綴る 地熱住宅・五郎八の家



工業高校の建築科を卒業する3月が近づいた頃、建築材料学を教えていた先生が、
「君達諸君は、これから就職して社会人の第一歩を歩きますが、特に注意をしてもらいたいことがあります。
それは、現場に出たときに先輩や上司から呼ばれたときには歩いていかないように!
呼ばれたら必ず走っていきなさい」と言われたのである。
私は田舎の学校で育ったものですから、先生の教えは必ず守らないといけないと常々両親が言っていましたので、
親の言うことよりも先生の教えを忠実に守りました。

そこで、初めて赴任した現場が「旭が丘中学校」と言う新設校の工事現場でした。
4月の開校を目指して、最終仕上げの段階に入っており、急ピッチで工事が行われ、
多少の雨でも工事現場は動いていました。

そんな中、一年先輩の現場監督さんが、「やがみ!」と校舎の方から呼ぶではありませんか。
そのとき、先生の言葉が瞬時に頭をよぎりすぐに駆け出していました。
天気は小雨状態。
事故は大体、そのような条件で起こるものです。
先生の教えをしっかりと守った私は、雨でぬかるんだ工事現場を急いで走りました。
あと一歩で犬走りに届こうとするところで、コンクリートで造られた排水溝の框に右足を掛けて飛ぼうとした瞬間、
履いていた長靴と共に溝の中に滑り落ち、思い切り右膝を強打したのです。

強烈な痛みが襲い掛かり、その場を動けなくなってしまったのです。
「やってしまった!」
骨折をしてしまったのではと頭がよぎり、恐る恐る強打した右足を動かしてみると、何と動くではないですか。
これで骨折は免れたなと思ったやいなや、見る見るうちに右膝が晴れ上がり、
更に激痛に襲われ、膝がすぐに曲がらなくなってしまったのです。

急いで痛めていない左足を使い、約200メートル離れた現場事務所まで誰の手助けを借りずに片足で戻りました。
その状態を見た現場所長が、すぐに自家用の軽自動車で10キロ離れた市民病院まで搬送してくれたのですが、
今度は足が曲がらないので、簡単には車から降りれません。

病院へ着くなり、すぐに救急処置が施され、X線検査をしたら骨折は免れていて、
強打による打撲で、ヒザの部分の関節に内出血を引き起こしていました。
処置室にて、すぐにプンク注射が行われ、内出血した血液を2本も抜いたのです。
それが終わると、すぐに入院手続きをしました。
この生まれてはじめての体験を私に与えて頂いた栄永先生に深く感謝をするとともに、
先生の教えを忠実に守った私を心からほめてやりたい。
入院生活の素晴らしさが、今後の私の人生生活に大変なターニングポイントになったからです。


エコロジー建築家 矢上五郎八
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